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有機EL素子効率製造

2007年9月14日(金)付 日経産業新聞より引用

 京大、3機能を1工程で、有機EL素子効率製造、電池・センサーに応用

京都大学の研究グループは、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)向け素材の新しい合成技術を開発した。一つの導電性高分子に有機EL素子に必要な三つの機能を持たせることができる。従来は三段階からなる素子製造工程を一段階に短縮できる。大手化学メーカーと共同研究を検討しており、三年以内に実用化にメドをつける。

京大の中條善樹教授と森崎泰弘助教らが開発したのは、発光分子を、プラスの電気(電子が抜けた正孔)を通す分子と、マイナスの電気(電子)を通す分子とで、挟み込んだ導電性高分子を合成する技術。

これによって、プラスとマイナスの電気を通す部分と、両者がぶつかって光を出す部分の三つを一つの高分子につくり込める。

有機EL素子の従来の製造法では、この三つの機能を順番に積層しなければならない。また、プラスの電気を通す部分と発光する部分は基板に塗布できるのに対し、電子を通す部分は半導体製造と同じ真空容器の中でつくらなければならない。

三つの機能を一つの高分子で実現できれば、一回の印刷で有機EL素子をつくることが可能になる。

新技術で用いる分子は、炭素や硫黄が五角形や六角形の板のような形につながった「芳香環」からなる高分子。芳香環の面と面を向かい合わせて並べると、電子などがその中を通過できる。

違った機能を持つ分子を一つにつなげる合成法を応用すれば、有機ELだけでなく、有機太陽電池やセンサーなどにも応用が可能。また発光材料と電池なども一体化することができそうだ。

研究成果は十九日から名古屋市で始まる高分子討論会で発表する。(日経産業新聞)