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新発光材料を合成

2007年4月30日(月)付 日刊工業新聞より引用

 京大、高分子系と低分子系を組み合わせた発光材料の合成に成功-有機EL用に期待

京都大学大学院工学研究科の中條善樹教授と長田裕也大学院生は、新しい有機EL用発光材料として期待できる、高分子系と低分子系を組み合わせた発光材料の合成に成功した。低分子系の発光材料であるホウ素キノレート化合物(BPh2q)を、ホウ素が主鎖となるように共役系高分子に導入したもの。共役系高分子はもともと導電性や発光性を示す。高分子は成膜性に優れているため、スピンコート法やインクジェット法といった簡便な方法で、有機EL用の発光層へ活用が期待できる。

BPh2qは低分子系発光材料として使われているアルミニウム・キノリン錯体(Alq3)と同様の発光材料。同錯体を含めアルミニウムキノレート錯体については多くの研究が行われているが、ホウ素キノレート化合物に関する研究例は少ない。

BPh2qは単独でも発光効率や導電性、安定性が良い。これを共役系高分子の主鎖に導入することで、単に低分子系と高分子系の発光材料を組み合わせた材料よりも、発光性が良く、発光挙動の制御や成膜性機能を併せ持つ材料にすることができた。

さまざまな励起波長で一定の発光波長を得ることができる。有機EL表示装置の発光の濃淡をつけるのに役立つ可能性がある。

これまで発光材料を側鎖へ導入した例はあったが、高分子の主鎖への導入例はなかった。今後さらに、さまざまな共役系ポリマーへのBPh2qの導入について研究を進め、有機EL材料への応用を目指す。(日刊工業新聞)